1.出会い
築17年目の我が家のエアコン買換えに伴い、ベランダに設置してある室外機の撤去を機に、かなりくだびれてきたベランダの防水工事を施工することにした。
新築時の工務店に見積もりを依頼するが、納得のいく施工の説明と見積金額ではない。
ネットで「ベランダ防水工事」業者を検索するが、わずか数しかヒットしない。
そんな時、産業振興センターで「住宅リフォーム展」なるものが開催されており、興味半分に見に行くことに。塗装関係のブースを2、3社覗いたが、どれもイマイチ"心に響く"ものが感じられない。そんな中、ひときわ異色なオーラを放っている「近藤栄一塗装店」の"のぼり"を発見し覗いてみることにした。
現場からそのまま駆け付けたような白い「ニッカボッカ」姿の若い職人さんが確か2人と女性が1名、ちょっと説明を聞くのに躊躇したが、ヒヤカシ半分で我が家のベランダ防水工事の現状と今後の施工方針を説明すると、「私じゃなんなんで、今親方を呼んできます!」と若い職人さんが親方を呼ぼうと振り向いたら、何やら只ならぬ予感を察知したのか「近藤親方」がなにげに近寄ってきて、私の説明を聞くなり「無理です。シロートが自分で簡単に出来るものじゃありません!」と綿イズのDIY魂を見事にへし折ってくれました(笑)
私は、ちょっとした日曜大工は大好き。自分のサンデッキや玄関ドア、アプローチのつい立などのペンキ塗りはお手の物。そうです。工務店業者の説明に納得がいかず、ネットで調べたところ、「この程度ならもしかして自分で出来るんじゃね?」と思い込んでいた甘い考えを見事に打ちのめされました(笑)。
2.決断
その後、ネットで調べた業者に見積もりを依頼したところ、工務店業者よりかなり安い。
しかし、"イマイチ響かない"為もう1社見積もりと思い、あの時から二週間が経っていたが、気になっていた「近藤栄一塗装店」に見積依頼の電話をしたところ、親方が電話に出て、リフォーム展の時の話をしたところ何と覚えていてくれた。(ちょっと感動!)後日、親方が見積りを持参して頂いたところ、3社の中で一番高額であった。
しかし、どこからくるのか分からないが施工方法に対する絶対の自信と、こちらの疑問に対して納得のいく説明を聞くことができた。 その後、検討に検討を重ねた結果、親方に「オタクが3社中一番高いんだけど、でも近藤さんにお願いしたい」と申し上げると、親方は低姿勢にお礼を述べ、他2社の見積もりを見て「もうちょっと勉強します」と言い放ちさっさと帰って行った。そして後日、「施工方を見直し、多少勉強しました」とわざわざ見積りを出し直してくれて契約に至った。
3.いよいよ施工
(1)左官屋さん
4月上旬の土曜日から施行開始、当日は朝から雨。雨の侵入を防ぐため前日のうちに貼っていた養生シートに容赦なく雨が打ちつけられる。当日はまだ肌寒く、まだヒーターをつけていたが、若い左官屋さん2人が雨を気にしながら一生懸命作業に励んでくれた。
一階車庫前で接着剤やモルタルをこねて、階段を登りリビングを通って二階のベランダまで何往復しただろうか。文句の一つも言わず黙々と作業してくれた。
昔の職人さんのイメージは高齢で仏頂面で愛想がなく、話しかけても大した答えが返ってこない。そんなイメージしかないが、若い左官職人さん2人は真逆であった。こちらが話しかけると気さくに答えてくれ、だが黙々と仕事をこなす。2人の仕事ぶりと目を見て"おぬし達、できるな!"とすぐに直感した。
モルタル施工当日は、4月特有の悪天候と低温により想像以上に乾燥具合が思わしくない。左官屋さんは数時間おきに乾燥具合を見てはこてを入れていく。夕方7時過ぎ3回目のこてを入れ、夜10時頃、仕上げに最後の4回目のこてを入れるつもりが、なかなか乾かない。なんと夜中の12時にこてを入れに来た。仕事とはいえ何か申し訳ない気持ちで一杯だったが、職人さんは「モルタルは乾き具合が勝負なんで、こてを入れるタイミングを逃すとダメなんです」と言い放ち夜の闇間に消えていった。
近藤親方は、見た目は怖そうで一発で"元ヤン"と分かる風貌だが、やはり親方の仕事に対する姿勢と人間性の良さで、若いバリバリ腕の良い職人さんたちが集まってくる(探してくる?)んだなぁ。と感じ取るには容易でした(笑)。
川端左官屋さん、夜遅くまでご苦労様でした。そして、ありがとうございました。今後益々のご活躍を期待しています。(技能五輪、頑張ってください!)
(2)防水工事
モルタル基礎工事から一週間が経過し、翌土曜日、いよいよ防水工事の開始となった。だが、気になる天候は下り坂。予報は午後から雨である。8時半前に業者さん達2名が到着し、降雨を気にしながら早速作業開始。古い配管カバーを外したら跡がクッキリ残っているため親方に連絡し、急きょ追加で塗装して頂くことに。イカツイ感じの若い塗装職人さん(小柳さん)が文句も言わず顔に似合わず(笑)丁寧な口調で受け答えしてくれる。手慣れた感じで手際良く丁寧に壁一面を仕上げてくれた。壁面塗装をしている中、防水業者さんが床面と立ち上がり部分にプライマーを塗布(強烈な臭い!)し、天候を気にしながら乾燥待ちの状態だったが10時近くからまたもや養成シートに雨粒が。だんだん雨足が強くなり車に中で待機している防水業者さんを呼んで、養成シートから漏れてベランダに侵入してくる様子を見てもらうと「今日の工程は大事な工程なんです。これじゃ今日はダメですね」と言い残し帰って行った。
お昼前、怖面の小柳さんが様子を見に来てくれてた。防水業者さんのことを伝えると「わかりました。親方に伝えておきます」と言い放ち他の現場に向かっていった。当方は当初の予定が狂ってしまい意気消沈気味であったが、小柳さんのやさしい顔を見たら少し安心した(笑)
それからの作業は天候に大きく左右される工程の為、業者さんが天気を見ながら勝手に作業してくれることに。仕事が終わり帰宅すると、ベランダの様子が変わっていく日が2、3回。よくもまあ家の中を通らずに外から2階に足跡一つ残さずにきれいに仕上げるものだと感心しきり。工程は鮮やかなブルーのベースを2回も塗り、プールの底状態から仕上げにグレーのトップコートを塗布して終了、完成。モルタル基礎工事の施工開始からちょうど二週間が経過したが、業者さんたちは雨との戦いだった。本当に天候により左右され大変だなぁ。とつくづく感心させられました。
(3)現場監督
その数日後、親方が出来あがり状態を見に来たらしく、電話で話したら、「どうも納得がいかねぇんですよね」と。なんで!?と聞くと、「ローラーの毛が、いっぱい抜けているんすよね」との返事。
私は、親方から言われるまでまったく気付きませんでした。そう言われて見ると確かに刷毛の毛先のようなものがグレーのトップコートの中に、たっぷり埋まってました。
その事をうちのカミさんに話すと「さすが元ヤンは、仕事がキッチリしてるね」と。私は大爆笑でした。そう、ヤンキーは上下関係がすごく厳しいのはモチロンだし、仕事だって妥協はしないんだよ!と言って、互いに大受けしてました(笑)
その後、天気の合間を見て、すぐに防水屋さんが来て2度目の防水工事に着手となり、再びベランダはプールの底状態に。
カミさんが「別にこのままでもいいのにね!」と。確かにこの下は1回防水工事が施工されているからそうかも…。俺もそう思うけど、んな訳にはいかないんだってよ!シロートはこれだから困るんだわ!と、妻を納得させるのに苦労しました(笑)
4.漢気
その後、支払いをお願いし請求書を見たら、外壁1面の追加塗装工事代金が請求されてなく、ほんの気持ち程度を支払おうとしたら、親方にキッパリと断られました!
「うちは、見積り、請負金額以上はいただけません!」と。
ほんと申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
この間、近藤塗装店さんや左官屋さん、防水工事業者さんには、散々お手数をお掛けしました。お陰様で、6月4日無事エアコンの設置作業も終了し、当初の予想よりも遥かに見事なベランダとなり、また、防水工事も2重にしていただき、ありがとうございました。
今後、当家も経過年数と共にまたあちこちガタがくることと思われますが、今後また色々とお世話になることがあるかと思いますが、また、近藤さんにお世話になろうと決めております(笑)ので、その節は、よろしくお願いいたします。
この度は、大変お世話になり、ほんとうにありがとうございました。
今後、近藤栄一塗装店さんの益々のご発展をお祈りしております。
(2011年4月塗替え完了)中央区在住 山本様(50代)